30-15

お問い合わせはこちら

ブログ

間欠性持久力テストのニュースタンダード:30-15IFT

2021/06/14

YoYoテストに代わる間欠性持久力テストのニュースタンダード

テスト結果に基づいて個人別のトレーニング負荷設定ができる!

30-15 IFT」

 
 
多くのフィールドスポーツでは、高強度運動を短い休息時間を挟んで何回も繰り返す間欠的な持久力が重要です。そのため、間欠性持久力を評価するためには、連続的な持久走ではなく、間欠性持久力テストが用いられてきました。
 
YoYoテスト
その代表格とも言えるのが、皆さんよくご存じの「YoYo間欠性回復力テスト(YoYo IRT)です。サッカーをはじめとして、ラグビー、バスケットボール、ハンドボール、テニス、バドミントン等々において、選手の能力評価や適性のチェック、トレーニング効果の確認のために世界中で広く用いられ、その妥当性と信頼性が認められてきました。
YoYo IRTの成績は、スポーツ競技の様々なパフォーマンスレベルと密接な関係にあり、トレーニング効果を敏感に反映し,、能力の変化を的確に判断できることから、定期的に使用されている指導者も大勢おられることと思います。
 
30-15IFTと最大有酸素性スピードの評価
しかし、このYoYo IRTとは別に、世界のトレーニング指導者の間で最近大きな注目を集めているテストに、30-15 Intermittent Fitness Test、略して「30-15IFT」があります。このテストは、30秒間の40m往復走を15秒の休息を挟んで繰り返すもので、走速度は通常、10km/hから0.5km/hずつ速くなります。両端の方向転換ラインと中央の20mラインを通過するタイミングを指示するビープ音に合わせて走り、スピードについていけなくなった時点でテスト終了となり、各選手が最後にカバーしきった速度を最大酸素摂取量に到達したランニング速度としての最大有酸素性スピード(maximum aerobic speed、略してMAS)」として記録します。大学生サッカー選手のMASは通常、17km/h~22km/hの範囲に分布します。
 
30-15 IFTも間欠性持久力テストです。したがって、15秒という回復時間を挟んで、30秒ごとに漸増する速度のランニングにどこまでついていけるかを評価する点で、YoYo IRTとコンセプトは同じです。ではなぜ30-15IFTがYoYo IRTに代わって注目されているのでしょうか?
そこにはYoYoIRTには次のような点でMASの評価ができないという問題点があるからです。
 
YoYoテストの問題点
● YoYo IRTは、ステージが上がるにつれて運動時間に対する休息時間の比率が大きくなるため、MASを正しく測定することができない。それに対して30-15IFTは、運動時間と休息時間の比率が常に一定であるため、MASを求めるための漸増負荷テストとしての基本的な条件を満たしている。
● YoYo IRTは同じ速度で最大8回走ってから速度を上げていくことからテストをどこで終了したかという結果からMASを評価することができない。それに対して30-15IFTはステージごとに負荷が同じ大きさで漸増するため、テストを終了した一つ手前の速度がその選手のMASとなる。
 
30-15IFTの利点
30-15IFTの結果は、YoYoIRTの結果と非常に高い相関を示し、どちらのテストによっても選手のレベル(例えばエリートとサブエリート)の差を正しく識別することが可能で、トレーニング効果に対する感受性も同じであることが研究によって確かめられています。しかしYoYoIRTには上記のような問題点があります。
したがって、30-15 IFTを用いれば、選手の間欠性持久力の評価とトレーニング効果の確認をYoYoIRTと同じように行えるだけでなく、個々の選手のMASを正しく測定することができるため、その結果をもとに個人ごとのトレーニング負荷を正確に設定することが可能となります。
 
MASに基づくインターバルトレーニング
MASを基にしたトレーニングはどのように進めることができるでしょうか?まず、走る時間と休息時間を決めます。例えば10秒走って10秒休息を10回という具合です。次に30-15IFTで得られた個人のMASをもとに、10秒間で走るべき距離を個人ごとに求めます。例えばMASが18km/hの選手なら50m、19.5km/hの選手なら52.8m、21km/hの選手なら58.3mとなります。折り返し走をするならこの半分の距離となります。この計算は面倒ですが、あらたに発売となったSportBeeper PROなら自動的に表示させることができますので、それぞれの走るコースをマーカーで表示し、各自の該当するコースに並びます。あとはSportBeeper PROをスタートさせれば10秒ごとにビープ音が発出されますので、選手は各自のMASに応じた距離をしっかりとカバーするべく走ることになります。
最初からMASの100%ではなく90%でトレーニングする場合は表示された距離に0.9を掛けることになりますが、10秒走る場合も9秒と設定して距離を表示させトレーニングは10秒で行うことで簡単に90%MASのトレーニングが可能となります。
 
30-15IFTの実施法
30-15 IFTは、Martin Buchheitによって研究-開発されたテストですが、YoYo IRTのような市販のCD‐ROMを必要とせず、様々な音源を著作権フリーで自由に使用することが可能です。
下のリンクから、テストの詳細とテスト風景のビデオを見ることもできます。
ですから、SportBeeper PROで、以下のように設定するだけで誰でも簡単に作成し実行することができるのです。
 
・初期速度:10km/h(レベルに応じて8km/hでもよい)
最終速度:25km/h(例えば)
・スピード増加量:0.5km/h
・ステージ時間:30sec
・レスト時間:15sec
・マーカー間距離:20m
 
このように設定すれば、20mごとに選手が通過またはターンするべきタイミングをスピードの増加に合わせてビープ音で正確に知らせてくれます。
 
YoYoテストから30-15IFTへ
弊社は、多くのフィールドスポーツにおいて、連続的持久走による持久力テストが主流であった2000年台初頭より、間欠的持久力テストの必要性を訴え、2006年からYoYoテストの国内総代理店としてYoYoテストによる間欠性持久力テストの普及に努めて参りました。しかしながら、CD-ROMによる音源の活用が困難となり、販売の停止を余儀なくされておりました。
 
この度SportBeeper PROの発売が開始されたことにより、30-15IFTから得られる選手個々のMASを基にした合理的で効率の良いトレーニングが実施できることになったのを機に、今後は30-15IFTの普及に努めていくことにいたしました。
YoYoテストに関しては膨大な研究成果が蓄積されており、これまでに得られたデータを基にした評価に利用する価値そのものがなくなるわけでは決してありませんが、30-15 IFTによっても同様の評価が可能であるとともに、MASを基にしたトレーニングが可能となることから、YoYoテストが果たした役割は一つの時代を終えることになるといえるかもしれません。
 
これまでにYoYoテストをご購入いただいた皆様には心から感謝いたしますととともに、30-15IFTをSportBeeper PROによってお試しいただき、よりいっそう合理的で効果的なトレーニングをお試しいただければ幸いです。
 
 
 
S&C株式会社 代表 長谷川 裕