「負荷管理」とは何か?

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「負荷管理」とは何か?

2019/11/20

バレーボールにおけるパフォーマンスを改善するため負荷管理をどう使うか

「負荷管理」とは何か?

みなさんは「負荷管理」という言葉をご存知ですか? 今回はこの「負荷管理」という最近よく見かけるようになった用語についてのVERT社のブログをご紹介します。
 

スポーツにおけるコーチングの世界でこの数年頻繁に使われるようになってきた用語に「負荷管理」というものがあります。この用語が意味するのは、選手が狙った試合でピークを迎え、ケガをすることなくできるだけ長期間コートやフィールドで活躍できるためのより良いトレーニング計画を立てるために、  選手にかかるトレーニングや試合の負荷を定量化しようというシンプルかつ明快なものです。特に、ケガのリスクを減らす、という側面が重要で、いかにオーバートレーニングと逆にトレーニング不足を予防するかが「負荷管理」の主要な目的となります。

オーストラリアのカトリック大学運動科学部のガベット博士は、トレーニング-傷害防止パラドックス」というモデルを提唱しています。これは、高いトレーニング負荷に慣れている選手のほうが、低いトレーニング負荷でトレーニングしている選手よりも怪我が少ないという一見すると矛盾するような現象を指します。ガベット博士は、急性負荷慢性負荷という言葉で選手がさらされる負荷を区別することによってこのモデルにたどり着きました。これは、選手が過去28日間に行ったトレーニング負荷を慢性負荷、直近7日間のトレーニング負荷を急性負荷として、急性負荷の慢性負荷に対する比率(急性-慢性負荷比)を算出するというものです。たとえば、ある選手が過去28日間で100回ジャンプし、直近の7日間で100回ジャンプを行ったとすると、急性-慢性負荷比は1.0となります。選手が健康でよいコンディションを維持しつつよりハードなトレーニングを行うための理想的な比率は0.8〜1.3です。この比率が0.8未満または1.3を超えると、負傷リスクが増加することが調査により示されています。

バレーボールにおける跳躍回数
では、どのように「負荷管理」すればよいのでしょうか?バレーボールで最も効果的な方法は、シンプルに跳躍回数を使用することです。跳躍回数は、バレーボール選手のトレーニング負荷をモニタリングするための指標として有用であることがすでに研究によって確かめられています。 VERT パフォーマンスラボは、この5年間にわたって、カナダバレーボール協会のスポーツ医学ディレクターであるDr.マクドナルドと共に、バレーボール選手にとって過剰となることなく実施可能なジャンプ数を確保するためのトレーニング負荷の標準化に精力的に取り組んできました。最新のアメリカバレーボールコーチ協会(AVCA)によるウェブセミナーで、「私たちは、過去5年間の研究によって、アスリートのパフォーマンスを高いレベルで維持し、プレーを続けさせるために、VERTから得られる客観的データを利用できるようになりました」とマクドナルドディレクターは語っています。


データは使うために存在する
VERTのパフォーマンスラボディレクターであるジル氏は、「データはそれが実際に使えないことには何の役にも立ちません」と強調します。「それをどう使うかが念頭にないまま、跳躍や着地やその他の負荷の数値を収集してもそれだけでは進歩はありません。しかし急性-慢性負荷比やその他のすぐに使える客観的データによる標準化された指標を活用すれば、効果的な計画を簡単に立案することができるようになります」とジル氏は補足します。跳躍回数と着地衝撃をモニタリングすることはそうした目的に合致しています。
 
効果的なトレーニングプランを立案するためには、まずアスリートに要求される負荷の大きさを理解することから始めなければなりません。バレーボールについてVERT社は、これまでに数百のプログラムと数千の試合から何百万回もの跳躍に関するデータを収集してきました。その結果、今日では選手が試合時に直面する負荷を正確に知ることができます
 
以下はトップレベルの長時間を要する5セットマッチにおけるポジションごとの跳躍回数です。
 
ミドルブロッカー:160回
アウトサイドヒッター:130回
6-ローテーションプレーヤー:180回
セッター:400回
 
これがバレーボールの試合で選手に要求される数値であり、この数値を念頭に置いてトレーニングに取り組まなければなりません。急性-慢性負荷比といった指標を用いたトレーニングプログラムにより、こうしたレベルに耐えられるようになるまで選手の能力を向上させ続けることでコート上のパフォーマンスが改善し、選手が健康を損なうことなく試合に対する準備ができるようになるのです。
 
VERTのテクノロジーとDr.マクドナルドのようなスポーツサイエンティエストによって導かれた画期的な研究により、バレーボールというスポーツはこれからも選手のケアと成長、そしてパフォーマンスを向上させ続けるでしょう。
 
2019年8月3日付
 

齋藤朋弥
エスアンドシー株式会社 営業・企画
JATI-ATI、スポーツパフォーマンス分析スペシャリスト、NSCA-CSCS
龍谷大学スキー部トレーニングコーチ

 

長谷川裕
龍谷大学スポーツサイエンスコース教授
スポーツパフォーマンス分析協会会長
日本トレーニング指導者協会名誉会長
エスアンドシー株式会社代表

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