ウエイトトレーニングにおけるチェーンやレジステッドバンドの活用

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ウエイトトレーニングにおけるチェーンやレジステッドバンドの活用

2019/11/15

ウエイトトレーニングにおけるスポーツ科学

ウエイトトレーニングにおけるチェーンやレジステッドバンドの活用

 

ウェイトトレーニングにおけるチェーンやバンドにはどういう意味があるのか?

近年、SNSの普及により、様々な国で行われているトレーニング動画をいつでも簡単に見れるようになりました。その中でも、バーベルにチェーンやレジステッドバンドなどをつけてトレーニングを行っている動画がよく目にとまります。スクワットやベンチプレスなど様々な種目で使用されています。これにはどのような効果があるのでしょうか?

 

 

可動範囲全体にわたって負荷をかける

チェーンやバンドを使用する意味は、動作の可動範囲全体にわたって力を発揮させ続けるためです。

ベンチプレスの例で見てみましょう。ベンチプレスはバーベルをラックから外し、胸の付近までおろしてから挙上します。このボトムポジションからバーベルを挙げきるまでのコンセントリック局面の間に、実は可動範囲の全体にわたって上向きに力を加え続けているわけではありません。バーベルを挙げきる手前でバーベルの動きをコントロールするために無意識に減速させてしまいます。バーベルを挙上する際に慣性が働くため、ブレーキをかけないとバーベルは上向きに動き続けます。そのため、バーベルが飛んでいかないようにブレーキをかけてわざわざバーベルを止めているのです。この現象を防ぐために、チェーンやレジステッドバンドを用いて、動作終盤まで力を発揮し続けるようトレーニングを行うことで、よりトレーニング効果が高めようというのがチェーンやバンドを使用する意味です。

 

ベンチプレスにおける加速局面と減速局面の割合

下記の表は100名の被験者を対象にベンチプレス時の推進局面とブレーキ局面を調査した研究のグラフです。

X軸が%1RM負荷(1RMを100%ととした時の各重量の%)、Y軸はコンセントリック局面にかかった時間を100%とした時の推進局面の時間すなわちバーが加速している時間とブレーキ局面すなわちバーのスピードが減少して行っている時間の割合を表しています。

 

 

75%1RM負荷以下の重量では、ブレーキ局面が発生しており、軽ければ軽いほどその特徴は顕著に見て取れます。様々な競技でパワートレーニングとして行われる50~60%1RM付近の重量でも10%近い割合でブレーキ局面が発生しています。ベンチプレスでは押す動作によりバーベルを挙上しますが、ブレーキ局面では逆に引き動作によってバーベルを止めています。パワーを向上させるためには動作全体にわたって大きなパワーを発揮し、最大パワーに到達する必要がありますが、動作後半にブレーキ局面があることによって、パワーを発揮している時間が短くなってしまうことにより最大限のパワーを発揮できなくなる可能性があります。また、できるだけ動作範囲全体にわたってバーを加速させる動作と、動作後半で減速させる動作とでは動員される筋群にも違いが生じます。

 

チェーンやレジステッドバンドを使用すると動作終盤まで加速し続けることができる

チェーンは地面に垂れるくらい長いものを使用するため、多くのチェーンが地面に接地してる時(ボトムポジション)では負荷が低くなり、チェーンを持ち上げれば持ち上げる程、負荷が高くなります。レジステッドバンドはゴムの弾性を利用するため、ゴムの長さが短い時は負荷が低くなり、伸びれば伸びるほど負荷が高くなります。これらの特性を利用することで動作前半では負荷が軽く、動作終盤になるにつれて負荷が強くなるように調整し、動作全体に力を発揮し続けるようにトレーニングを行うことができます。このような理由から多くの競技でチェーンやレジステッドバンドがウエイトトレーニングに使用されているのです。

より速い動きを求めるVBTにおいても、このような外部負荷を使用することでより効率的にトレーニング効果を得られる可能性があります。

注意点として、チェーンやレジステッドバンドなどを使用することで、エキセントリック局面に普段以上に大きな負荷がかかるため、急激にバーベルをおろしてしまうと怪我につながる恐れがあるのでご注意ください。

出典(L.Sanchez-Medina,C. E.Perez, J. J. Gonzalez-Badillo,Importance of the Propulsive Phase in Strength Assessment,International Journal of Sports Medicine · February 2010)