Velocity Loss Cutoff(速度低下カットオフ)とは?
2020/05/13
ウエイトトレーニングで疲労を最小限に抑える
Velocity Cutoffとは?
本日はトレーニングの効果を最大限に行うために用いることができるVelocity Loss Cutoffというトレーニング方法をお伝えいたします。
Velocity Loss Cutoff(速度低下カットオフ)はVBT(Velocity Based Training)の代表的な方法です。
ウェイトの挙上速度があらかじめ決めた一定の割合まで低下したらそのセットを終了し、休息の後、再度新たなセットに挑みます。
疲労した状態での反復は排除し、より多くの速筋線維を動員できるフレッシュな状態での挙上を反復することにより、少ない挙上回数で最大限のトレーニング効果を得られることが最近の研究で明らかになってきています。
テクノロジーの進歩により、トレーニング現場でリアルタイムに速度をモニタリングすることができるようになったからこそ、可能になったトレーニング方法です。
Velocity Lossを20%と40%に設定した際のトレーニング効果を調べた最新の研究によると、両群ともに最大筋力を向上させましたが、スピードが40%低下するまでトレーニングを行った群は、
速筋線維であるTypeⅡxがTypeⅡaへ移行してしまったことが明らかになりました。速筋線維の遅筋化が進んでしまったのです。その反面20%群はそれが起こらずTypeⅡxは保存されました。
ウエイトトレーニングの目的が速筋線維の能力向上にあるのなら、追い込みすぎることでその効果を得ることができなくなってしまうのです。
今回は弊社スタッフが80%1RM負荷でのトレーニングを行った際の実際のデータを元にご紹介いたします。
棒グラフはバックスクワットで8レップトレーニングを全力挙上で行った際の1レップごとのデータです。レップを重ねるにつれて速度が徐々に低下していくのがわかります。1セット間で最大のレップに対してVelocity Lossを20%と40%に設定しています。今回のトレーニングでは20%速度が低下したのは6レップ目、40%まで低下したのは8レップ目です。
折れ線グラフは速度とポジションの関係を表したものです。
6レップ目は緑色のラインにオレンジのマーカーがついているもの
8レップ目は茶色のラインです。
8レップ目はしゃがみ込みの深さも浅くなっており、立ち上がり始めの速度も後半の伸び上がる際の速度もどのレップよりも低下してしまっていることが一目瞭然です。
疲労により、速度を高めることもできず、やっとバーベルを持ち上げているだけの状態になってしまっています。このように疲労した状態ではトレーニング効果を最大限に引き出すことができないことは明確です。
齋藤朋弥
エスアンドシー株式会社 営業・企画
JATI-ATI、スポーツパフォーマンス分析スペシャリスト、NSCA-CSCS
龍谷大学スキー部トレーニングコーチ
長谷川裕
龍谷大学スポーツサイエンスコース教授
スポーツパフォーマンス分析協会会長
日本トレーニング指導者協会名誉会長
エスアンドシー株式会社代表
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