ハムストリング筋力の計測:ハムストリング肉離れ予防

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ハムストリングのエキセントリック筋力:肉離れ予防

2022/06/03

KFORCE:ハムストリング筋力計測

齋藤 朋弥・長谷川 裕
 
ハムストリングの肉離れの一要因としてのハムストリング筋力
サッカーでは競技人口の増加に伴い下肢のケガが増加しています。捻挫やハムストリング損傷、鼠径部の外傷や障害などです。特にハムストリングの肉離れは非接触型の外傷として様々な年代やカテゴリ―で起こっています。このハムストリングの肉離れは体重、年齢、性別、筋力、疲労、左右差など様々な要因に起因し、いまだ直接的な原因が判明していないのが現状ですが、ティミンズら(2015)は、 ハムストリングのエクセントリック筋力が低いとエリートサッカー選手がハムストリングを損傷するリスクを高めてしまうことを発見し、選手のハムストリングのエクセントリック筋力を定期的に測定し、トレーニングすることの重要性を主張しています。
 
「ノルディックハムストリングエクササイズ」を用いた筋力の評価
世界中でよく知られたハムストリングのエクセントリック筋力を向上させるためのトレーニングに、ノルディックハムストリングエクササイズと呼ばれるエクササイズがあります。膝とつま先を床につき上体を直立させた姿勢で後方から足首を固定してもらい、股関節を屈曲せず伸展位をキープしたまま、なるべくゆっくりと前方へ倒れていくエクササイズです。マルチ測定システムKFORCEの「マッスルコントローラー」を使用することで、ノルディックハムストリング中のハムストリングのエクセントリック筋力とその左右差をリアルタイムで簡単に評価することができます。ですから、KFORCEを用いて定期的に筋力を評価し、高めることでハムストリングの肉離れを予防できます。では一般的にハムストリングのエクセントリック筋力はどのくらいの数値を目標にすればいいのでしょうか?
 
サッカー選手に必要なハムストリング筋力は400N以上
下図は、EPL、ECL、UEFAに所属する約3,900名の選手を対象に2019 ~2020年シーズンに行われた21,000件以上のノルディックハムストリングテストの結果から基準となる数値を示しています。各図は、ノルディックハムストリング筋力(x軸)と確率密度(y軸)のスコアをプロットしたものです。また、各リーグの中央値は点線で、四分位数範囲(IQR)はオレンジ色で表示されています。確率密度(y軸)については、1(最大値)に近いほど一般的な値であることを意味し、0(最小値)に近いほど一般的でないテストスコアを意味しています。
 
データから明らかように、全ての団体でデータの中央値が400Nを超えた筋力を示しています。つまり、サッカー選手であれば、ハムストリングのエクセントリック筋力は、この400N以上というのが一般的な基準となり、これらの基準を元に評価とトレーニングを行うことが妥当となります。

(EPL:English Premier League、ECL:European Champions League、UFFA:Union of European Football Associations)  
 
ハムストリングの肉離れ予防は筋力評価からはじまる
サッカーにおいて、急激な加速や減速のための動作や方向転換、キック等の動作でハムストリングは酷使されます。ハムストリングの受傷は多くの場合、非接触的に起こることから、受傷の要因の一つであるエクセントリック筋力を正しく客観的に評価しトレーニングを行うことで、競技中の受傷リスクを低下させることができます。前ブログでも紹介しましたが、一度ハムストリングの肉離れを受傷した選手の再発率は受傷していない選手に比べ2倍以上高いことが研究で明らかにされており、復帰までに長期間を要します。ですからできるだけ早くハムストリングのエクセントリック筋力を測定・評価し、ノルディックハムストリングエクササイズに代表されるようなトレーニングを定期的に継続する必要があるのです。KFORCEのマッスルコントローラー2台あれば、チーム全員のハムストリングのエクセントリック筋力とその左右差を簡単に調べることができ、基準値と照らし合わせてすぐハムストリングの肉離れ予防のためのトレーニングを開始することができます。また、リハビリテーション期においても、トレーニングと評価が一度に行え、日々のトレーニング成果をデータ化することができます。
是非、選手のハムストリングの肉離れを未然に防ぐために、そして早期回復のためにKFORCEをご活用ください。
 

参考文献:TIMMINS, Ryan G., et al. Short biceps femoris fascicles and eccentric knee flexor weakness increase the risk of hamstring injury in elite football (soccer): a prospective cohort study. British Journal of Sports Medicine, 2016, 50.24: 1524-1535.

 

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https://sport-science.jp/blog/detail/20200728145051/


 
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齋藤朋弥 t.saito@sandcplanning.com
エスアンドシー株式会社 営業・企画
JATI-AATI、スポーツパフォーマンス分析スペシャリスト
龍谷大学スキー部トレーニングコーチ

 

長谷川裕
龍谷大学スポーツサイエンスコース教授
スポーツパフォーマンス分析協会会長
日本トレーニング指導者協会名誉会長
エスアンドシー株式会社代表

ノルディックハムストリングが実施できない選手へ

KFORCEのマッスルコントローラーはツインハンドルアタッチメントを使用することで容易にハムストリングの筋力計測を行うことができます。

ノルディックハムストリングエクササイズができない筋力レベルの選手には、うつ伏せになり膝90度屈曲位でのアイソメトリック筋力測定がオススメです。

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