Optojumpnextを用いたスプリント分析
2021/03/31
毎歩のスピードの左右差
OptoJumpNextを用いたスプリント分析
本日はOptoJumpNextを使用したスプリント分析についてご紹介致します。
OptoJumpNextはイタリアMicrogate社製の測定機器で、地上3mmに約1㎝間隔に配置された光学センサーによってスプリントや歩行、ジャンプや全身反応時間などを計測し、分析することができます。
まずはこちらの動画をご覧ください。
動画では、スプリントのスタートダッシュ10mの一歩ごとのスピードに着目して解説しています。
◆スピードが右肩上がりに上がる理想的なタイプ
◆左右差があり片側の加速が小さいタイプ
◆片側がブレーキになり減速までいってしまうタイプ
をご紹介しましたが、この他に一本ごとの特徴がバラバラになる不安定なタイプの場合もあります。
数値の大小も加味すると、
◆初速から10m内の最高速度までの速度の上昇の仕方が緩やかなタイプ
◆初速は遅いが後半の加速が大きく最高到達速度が大きくなるタイプ
の選手など、10mスプリントだけで見ても各選手の特徴や傾向は様々です。
これら全体を通して「初速は速いが左脚の加速が小さく、最大スピードは平均的」といった個人の分析を行うことができます。
動画内で野球選手やサッカー選手に多いとありますが、これは競技特有の動作が左右非対称であるため、その影響が走る時の脚の働きにも出てしまうためです。野球選手の中でも例えば右投げの投手は特に、「右足が加速、左脚が減速」の傾向が強いです。サッカー選手の場合も同様、右足でのキック時に左脚でブレーキを掛けるため右利きの選手は左脚がブレーキになることが多く見られます。
まれに「左脚の筋力がキック時のブレーキの役割で強くなり、スプリント中は左脚の方がより長いストライドで走れるため速くなる」といった選手もいますが、いずれにせよ大きな左右差が出やすいスポーツだと言えます。
「この年代のこの競技の選手はこういう傾向がある」という情報だけで測定をせずにトレーニングを進めてしまった場合、違う特徴を持つ選手にとっては非効率であったりマイナスの結果になってしまう場合もあります。
トレーニングの「個別性の原則」は見落とされがちですが非常に重要なことなのです。
改善には
◆「測定」⇒「計画立案」⇒「トレーニング」⇒「再測定」
のサイクルが一般的ですが、トレーニングの際にデータを取得する「モニタリング」を実践できれば、
◆「測定 = トレーニング」
となり、トレーニング中に軌道修正を加えることも可能ですのでより効率よく改善へのプロセスを進めることが可能です。
OptoJumpNextは1mのみで各種ジャンプの分析、全身反応時間の計測(視覚/聴覚反応)、トレッドミル上に設置してランニングの分析を行うこともできます。選手個人の個別性に応じたトレーニング指導を行うために最適なデバイスですので、ぜひ導入をご検討下さい。
ジャンプ計測の分析についても今後記事を公開する予定です。
S&C株式会社 長谷川 昭彦