長距離ランナーの分析 Part1:ランニングスピード構成要因
2021/05/20
今日は、マラソンや10km走といった長距離走を、より楽に、そしてより速く走れるようになるためのランニング分析というテーマで、特にピッチとステップ長というものについて少し詳しく説明させて頂きます。
最初に、ランニングのスピードを決める要因は何かということを見てみましょう。
いろいろたくさんの要因が関係していますが、単純化してしまうと、
速度というものは距離÷時間なので、42.195㎞とか10㎞を走るのにどれだけの時間かかったかという話になり、なにも面白くありません。
しかし、ランニングというものは一歩一歩の積み重ねです。フルマラソンですと、少ない人でも2万数千歩、多い人だと4万から5万歩、10kmでも5000歩以上の一歩一歩の積み重ねです。すごい数です。ですから、この一歩をどうするかということが積もり積もってすごく重要になるわけです。
一歩のスピードは一歩の距離をその一歩に要した時間で割った値となります。
この一歩にかかる時間というのは、接地時間と滞空時間ですから、一歩のスピードは一歩の距離を接地時間と滞空時間を足した時間で割った値ということになります。
接地時間は足が地面についている時間、つまり地面に対して力を加えている時間です。
滞空時間は前の足が地面から離れて次の足が着地するまでの時間ですが、同じ距離でも上図の赤線のように高く弾んでしまうとそれだけ時間がかかってしまいます。
たとえば10mボールを投げるにしても低く野球のピッチャーのようなボールもあれば、バレーボールの天井サーブのように高く上げる方法もあるということになります。
つまり、速く走るには一歩の距離つまりステップ長を大きく、そしてそのステップ長を確保するための接地時間と滞空時間を短くすることが要求されるということです。
ではピッチとは何でしょうか?
接地時間+滞空時間というのは時間です。実際には接地時間は0.25秒や0.19秒などという数字になり、滞空時間も同様に0コンマ何秒という時間となり、非常に分かりづらい数値になります。
そこで、この接地時間と滞空時間を足した数字をその逆数つまり1で割るということをすると、「1秒当たり何歩」という数値になります。
例えば世界一流スプリンターだと、5歩/秒以上になります。マラソンなどの長距離では1分間当たりに直して、〇歩/分をピッチとするわけです。
ですので、◆ランニングスピード=ステップ長×ピッチとなります。
上のグラフは大学生の長距離選手5名が時速18~19キロ、キロ3分強で走ったときのステップ長とピッチです。
グラフ右下側のような「大きなステップ長でピッチが少ない選手」、逆に左上に位置する「ピッチが多く、ステップ長が短い選手」がいることが分かります。
平均的な選手はこの中央当たりに集まり、選手によって特徴的なピッチ型とストライド型がいることになります。
スピードが同じならグラフ上に示したラインが右肩上がりになることは絶対にありません。平均的か、ストライド走法かピッチ走法か、より極端なオーバーストライドかオーバーピッチか、となります。