トレーニング指導者のためのパフォーマンス測定と評価 #8 インターバル走
2023/03/09
トレーニング指導者のためのパフォーマンス測定と評価
#8 選手に「理不尽だ」と言わせないためのインターバル走トレーニング強度の決め方
#8 選手に「理不尽だ」と言わせないためのインターバル走トレーニング強度の決め方1 記事PDFはこちらから
※上記記事はJATI EXPRESS No.91に掲載のものです。
【概要】
・持久的能力の特性と分類
・持久的走能力向上のための連続走トレーニングとインターバル走トレーニング
・従来の持久的走能力向上トレーニングにおける問題点
・絶対的トレーニング強度と相対的トレーニング強度
・最大有酸素性走速度MASの測定
・相対的走速度の決定
・相対的強度を基にしたインターバル走トレーニングのセッティング
・測定・トレーニング用ビープ音発生装置
[一人ひとりのMASを測定し、それに対するパーセントで速度を設定すれば、個人ごとの適切な強度を設定することが可能となるのです。
日本では、シーズン終了後の移行期に続く準備期には、持久的能力の向上にフォーカスしたトレーニングを行うのが一般的だ。今回から、この持久的能力を向上させるためのトレーニングをより科学的・合理的に行うために必要な測定と評価について解説する。
日本では冬季になると、多くのフィールドスポーツ種目では、持久力の向上を目的としたトレーニングの頻度が高くなります。シーズン中は試合のためのコンディションを維持するため、大きな疲労を招く持久的なトレーニングを避ける傾向にありますが、シーズン終了後の移行期に続く準備期には、持久的能力の向上にフォーカスしたトレーニングを行うというのが一般的な傾向です。 今回から、この持久的能力を向上させるためのトレーニングをより科学的・合理的に行うための方法、そのために必要な測定と評価について解説いたします。
1.持久的能力の特性と分類
体力要素としての持久的能力は一般的に、連続性持久力と間欠性持久力に分けることができます。連続性持久力は、最大下の強度での運動をできるだけ長時間持続的に行う能力、あるいは一定時間連続して持続することが可能な運動の強度をできるだけ高いレベルで行う能力です。間欠性持久力は、最大または最大に近い高強度でのスプリントや方向転換走等の運動を、一定の休息時間を挟んでその強度を維持しながらできるだけ長い時間にわたって何回も反復できる能力です。前者に比べて高強度運動それ自体を発揮するための能力と、休息時間に素早く回復するための能力が必要となります。
これらの能力を高めるための生理学的な機能としては、有酸素性および無酸素性のエネルギー代謝能力、そして筋力やパワーに関わる神経・筋の能力があります。競技特性によってその相対的な重要度は異なりますが、連続性および間欠性持久力の向上のためには、これらの全体的な能力を向上させることになります。
持久力と一言で言っても、すべての運動に共通するのではなく、例えばランニング、スイミング、サイクリング、ボート、スキー、スケート等、運動種目や様式が異なると持久的パフォーマンスは異なることが知られています。つまり、ある運動様式で向上させた持久的能力が他の種目へもそのまま転移することは、競技レベルが高くなるほど期待できなくなります。そこでここでは、多くのフィールドスポーツに共通する走運動に絞り、以下、持久的走能力あるいは走持久力のトレーニングを合理化するための測定と評価、およびそれに基づく合理的なトレーニング法について説明していきます。
2.持久的走能力向上ための連続走トレーニングとインターバル走トレーニング
持久的走能力を向上させるためには、連続走トレーニングとインターバル走トレーニングがあります。連続走トレーニングは、1000mとか3000mのように一定の距離を決めておいて、その距離を各自のペースでできるだけ速く走るという方法と、例えば30分間とか45分間といった一定の時間を決めておいて、その時間内できるだけ速く長い距離を走り続けるという方法です。一方、インターバルトレーニングは、30mとか100mといった一定の距離をほぼ全力で走ることを一定時間の休息を挟んで何回も繰り返すトレーニングです。
従来から、こうしたトレーニングは広く一般的に行われてきましたが、ここで問題としたいのはトレーニング強度をどのようにして設定するのかという点です。この場合の強度とは、言うまでもなく走速度です。ですから持久的走能力向上のためのトレーニングにおける強度設定とは、どのような合理性を持って走速度を決めているのかという問題になります。
”持久的走能力のトレーニングにおいても、全員一律のスピードや「できるだけ速く」といった主観的な全力発揮ではなく、個人の最大能力に対する相対値で強度を設定することが最も適切である。”
3.従来の持久的走能力向上トレーニングにおける問題点
これまでは多くの場合、走る距離や回数は決めても、走速度に関しては合理的な設定基準がなく、「できるだけ速く」ということで暗黙の了解があるようです。そうすると実際のトレーニングではどういうことになるでしょうか?
連続走トレーニングを集団で行う場合、最初は同時にスタートしても、徐々に集団はバラけて、能力の高い選手が先頭を走り、そうでない選手は後方を走るということになります。どのくらいの速度で走るかは選手次第です。そして先頭の選手がゴールしても、遅い選手はまだずっと後方を走っていたり、トラックを走る場合は周回遅れとなったりします。これは走る時間を決めておいてできるだけ長い距離を走る、というトレーニングでも同様です。一定の距離を最短時間で、あるいは一定時間で最長距離を走るためのペース配分は、陸上競技の長距離選手でない限りフィールドスポーツの選手にとっては容易ではありません。
インターバル走ではどうでしょうか。例えば、サッカーのタッチライン間やバスケットボールのエンドライン間の片道走や往復走を一定の休息時間を挟んで繰り返すというトレーニングの場合、速く走れる選手は遅い選手よりも先にゴールします。遅い選手はそれより数秒間遅れてゴールしますが、多くの場合、なぜか休息時間は同じです。個人ごとの走速度を測っているわけではありませんから、速い選手達は少々「手を抜いて」走ってもバレません。逆に遅いけれども真面目な選手は最大速度で走りますが、どうせ遅いと最初から諦めている選手も出てきます。こういう選手も頑張っているように見えても全力かどうかはわかりません。
そこで走る時間を設定しておいて、その時間内にゴールラインに入るようにという指示で行うインターバル走もあります。ストップウォッチを見ながらコーチがホイッスルでスタートと制限時間を合図します。では、その制限時間はどうやって決めるのでしょうか。誰も入れない時間に設定しても意味がありませんが、一番速い選手に合わしてもその他多くの選手が入れませんから、結局、中くらいの速度で走れる選手に合わすことになります。そうすると、やはり速い選手にとっては「楽ができ」ますが、遅い選手にとってはかなり大きな負担となります。ここでも最初から諦める選手も現れます。また、何本も反復して走るので、回復力の高い選手とそうでない選手とで、決めたタイムで入れるかどうかに差が生じてきます。さらに、例えば「今日は10本」と決まっている場合、疲れないように最初から速度を控えめにして10本こなすだけという選手も現れます。
このように、「頑張ってできるだけ速く走る」という強度の決め方では、偶然、最適な負荷になる選手はごく一部に限られてしまいます。 では、どのようにすればすべての選手にとって適切な走速度を決定することができるのでしょうか。そしてどのようにすればその走速度をトレーニングにおいてコントロールすることができるのでしょうか。
4.絶対的トレーニング強度と相対的トレーニング強度
ウェイトトレーニングでチームの全員に対して「100㎏でスクワットをしろ」、などということはありません。必ず個人の最大挙上重量(1RM)に対する相対値で強度設定します。もっとも、VBTでは、%1RMではなく挙上速度によって強度設定を行いますが、それは、日々変動する1RMに対する相対値と挙上速度の間に強い相関関係があるという事実を利用することによって、その日の体調に応じた最も適切な強度を設定するためであり、個人の最大能力に対する相対値で強度を設定していることには違いありません。
プライオメトリクスの連続ハードルホップを行う場合はどうでしょうか。そこでもチームの全員に同じ高さのハードルを跳ばせるなどということはありません。最大跳躍高に対する相対的な高さでいくつかの高さの異なるハードルを跳躍力の異なるグループごとに並べることになります。
ですから、持久的走能力のトレーニングにおいても、全員一律のスピードや「できるだけ速く」といった主観的な全力発揮ではなく、個人の最大能力に対する相対値で強度を設定することが最も適切だということになります。 では持久的走能力の最大値はどうやって測ればいいのでしょうか。そしてどのようにしてその相対値を設定し、いかにしてトレーニングでその相対的な強度をコントロールすればいいのでしょうか。
5.最大有酸素性走速度(MAS)の測定
持久的走能力の最大値は、最大有酸素性走速度(Maximum AerobicSpeed: MAS)を測定することで求めることができます。一定の時間間隔で少しずつ走速度を上げながら走り続け、疲労困憊となってそれ以上の速度では決められた時間を走り切ることができなくなったときの走速度がMASです。MASに到達した時点の酸素摂取量が最大酸素摂取量に相当しますので、このときの走速度をもって持久的走能力の最大値である判断するのです。
従来、一定の時間間隔で走速度を正確に漸増させるためには、速度を正確に設定できるトレッドミルが必要とされてきました。しかし、現在ではフィールドでも簡単に実施できるようになっています。
トレッドミルでは回転するベルトの速度によって走速度が強制的に決められますが、能動的なフィールドでの走運動で速度を正確に漸増させるためには、ちょっとした工夫が必要となります。それは、一定間隔に置かれたマーカーやラインを通過するタイミングをビープ音で知らせ、そのビープ音に合わせてマーカーやラインを通過していくようにさせるという工夫です。
例えば時速10㎞は秒速2.78mですから、20mごとに置かれたマーカーを通過する時間間隔は、20÷2.78=7.19秒となります。ですから7.19秒ごとにビープ音を発する装置をフィールドに置いておけば、選手はその音を目安に20mのマーカーやラインを通過して行けばいいのです。時速10.5㎞に速度が上がった際には、6.85秒ごとにビープ音が鳴るように設定します。最初はうまくタイミングを合わせるのが難しいですが、2~3個のマーカーやラインを通過すればあとはスムーズに通過していくことができます。
実際、ストップウォッチとホイッスルでこの時間を正確に知らせるのは無理ですが、今日では自動的に様々な速度と距離を設定してビープ音を大音量で発生させる携帯型の装置が開発されています。これについては最後に詳しく説明いたします。
MASを調べるためのテストにはいくつかありますので、その代表的なものを以下に紹介します。
1)VamEvalテスト
200mまたは400mトラックを用い、20m間隔にマーカーを置きます(図1)。能力に応じて時速6~12㎞から開始し、最初に2分間のウォームアップ後、1分毎に時速0.5㎞ずつ速度を漸増させていきます。速度の変わり目にはダブルビープ音で知らせます。ビープ音に合わせて20mマーカーを通過できなくなった時点でテスト終了となり、1分間走り切った速度がその選手のMASとなります。どのマーカーからスタートしても構いませんので一度に多くの人数のテストが可能です。半径31.85mの円形コースでも実施可能です。
2)20mシャトルテスト
図2にような、20mの距離に引かれたライン間の往復コースを用いて、時速8㎞程度から開始し、1分毎に時速0.5㎞ずつ速度を漸増させていきます。速度の変わり目にはダブルビープ音で知らせます。ビープ音に合わせてターンできなくなった時点でテスト終了となり、1分間走り切った速度がその選手のMASとなります。横に長く引いたライン上に一列に並んでスタートしますから大人数でも同時にテスト可能です。
20m地点を単に通過していけばよいVamEvalテストと違い、20m毎にターンが入るため、減速と加速そして方向転換に要する時間を考慮して20m毎のタイムに0.7秒を加えるというバージョンもあります。
3)45-15VMAテスト
1)、2)は連続的持久走テストですが、間欠性持久走のテストもあります。その代表として有名なのがこの45-15VMAです(図3)。元サッカー日本代表トルシエ監督時代によく用いられていたテストで、フランスでは現在でも最も普及しているMAS測定のためのテストです。ちなみにVMAというのはMASと同じ意味のフランス語の略語です。
200m、300mまたは400mトラックを用い、100mの直線コースの先に6.25mごとにマーカーを置きます。45秒間走り15秒間休息するというセットを、スピードを漸増させながら繰り返します。時速8㎞で45秒間走るとちょうど100mとなりますので、最初100mから開始します。100m走った後、15秒間休んで、次に6.25m先のマーカーからスタート地点に戻ってきます。このときスピードが時速0.5㎞速くなります。スタート地点で15秒休み、次に先ほどのマーカーよりさらに6.25m先のマーカーまで走ります。このときの速度は時速0.5㎞速くなります。走っている時間は常に45秒ですが、距離が6.25mずつ長くなることで速度が0.5㎞/hずつ漸増していきます。走り切ることができた速度がMASとなります。10名以上でも同時に実施可能です。時間内に走り切れる集団から離脱した選手がテスト終了となります。
4)IFT30-15
IFTとは、Intermittent Fitness Testの略です。40m離してラインを引き中央の20m地点にもラインを引きます。両側のラインの手前3mと中央ラインの前後3mにもラインを引くかマーカーを置きます(図4)。時速10㎞から開始し、走速度を0.5㎞/hずつ漸増させながら30秒の往復走と15秒の休息を繰り返します。中央ラインの通過時と両端のターン時にビープ音が鳴りそれに合わせてライン通過とターンを行います。ライン通過またはターン時のビープ音が鳴るときに手前3mの区間に到達していないことが2回連続した時点でテスト終了となり、走り切った速度がMASとなります。30秒経過のダブルビープ音が鳴ったら、15秒の休息時にゆっくり歩いて次のスタート地点となるラインまで移動してスタートのビープ音を待ちます。
”一人ひとりのMASを測定し、それに対するパーセントで速度を設定すれば、個人ごとの適切な強度を設定することが可能となる。”
5)Yo-Yoテストの有用性と限界
以上のような、一定の距離を徐々に短縮していく時間で走り切ることで速度を漸増させていき、どこまでその速度についていけるかによって持久的走能力を測定するテストで有名なものに、Yo-Yoテストがあるのをご存じの方も多いと思います。Yo-Yoテスト、特に10秒の休息を挟んで行う間欠性のテスト(Yo-Yo IR)は、GPSを用いた試合中の高速ランニング距離やスプリント回数との高い相関を示すことから、サッカーやラグビーを始め様々なフィールドスポーツ選手の持久的走能力を的確に評価するテストとして確立されています。
しかし、例えばYo-Yo IR1は20mの往復走を時速10㎞から開始し、時速14㎞で10段階でスピードを増した後、時速0.5㎞増加させた速度で8本、さらに0.5㎞/h増加させた速度で8本というように、同じ速度での8本の反復を繰り返していきます。またよりレベルの高いYo-Yo IR2では、時速13㎞で開始し、10段階で時速17㎞まで増加させその後は、0.5㎞/h増加させた速度で8本ずつ反復していきます。
このように、速度の増加率がテスト開始時に一定でないこと及び、同じ速度で8本ずつ走るということから、一定の比率で段階的に走速度を漸増させなければ正しく測定することが難しいとされるMASの測定には向いていません。ですから、Yo-Yoテストは、競技特異的な持久的走能力を評価するためには非常に優れたテストですが、トレーニング強度を設定するためのMASを知るために用いることはできません。
6.相対的走速度の決定
以上のように、VamEval、20mシャトル、45-15VMA、IFT30-15で個々の選手のMASが測定できれば、あとはその何%でトレーニングを行うか、という相対的強度を設定することができます。例えばMASの90%でトレーニングを行うとして、MASが22㎞/hという非常に高いレベルの選手であればその速度に0.9を掛けて19.8㎞/hと設定でき、MASが17.5㎞/hの選手であれば15.75㎞/hということになります。つまり、チームの選手全員に対して同じ90%という強度設定をしても、高いMASを有する選手とMASが低い選手では当然のことながら走るべき速度はそれぞれ違って当たり前なのです。
主観的に「全力で」というだけでは、コーチも選手も何が「全力」なのかわかりませんし、個々の選手のそれぞれの強度を正確にコントロールすることはできません。しかし、このように一人ひとりのMASを測定し、それに対するパーセントで速度を設定すれば、個人ごとの適切な強度を設定することが可能となるのです。
では、チーム全員を同時にそれぞれ異なる速度で正確に走らせるにはどうすればいいでしょうか。
7.相対的強度を基にしたインターバル走トレーニングのセッティング
そのためには、まず走る時間を決めます。インターバルで走る一本ごとの時間です。例えば10秒間走るとします。そしてこの10秒間で、速度の異なる選手がそれぞれ走るべき距離を計算するのです。例えば上の例で19.8㎞/hの速度で走るべき選手の場合、10秒間で走る距離は、19.8÷3.6×10=55mと計算できますから、この選手は10秒間で55m走ることになります。速度が17.5㎞/hの選手は48.6mと計算できます。
このようにして計算された異なる距離を設定することで、それぞれの最大能力の90%という同じ相対的強度で、同じ10秒間を走るということが可能となるのです。
95%、100%あるいは105%といった相対的強度も同様に速度を求め、10秒、15秒といった走る時間で距離を計算します。
全員同じスタートラインから走るとすると、走る距離ごとにマーカーやラインでゴールラインを決め、スタートの合図で同時に走り出し、10秒の合図でそれぞれ設定されたゴールラインに到達するように走ります。休息時間が10秒だとすると、2本目はゴールライン側からスタートし、全員同時にスタートラインに到達するように走ることになります。
往復走で行う場合は、計算された距離の1/2のコースを設定します。この場合、方向転換による減速・加速・ターンに要する時間を考慮したい場合は、走る時間が10秒間だとすると、0.7秒マイナスした9.3秒で走るべき距離を設定し、ビープ音は10秒ごとに鳴らすことになります。
このようにして、方向転換を考慮したMASに対する相対的強度毎の10、15、20秒の往復走の距離をまとめたのが表1です。実際のセッティング例は図5のようになります。
また、異なる速度グループの選手をすぐ横で走らせることによる心理的な影響を排し、別々の場所で走ることによって各自のペースに集中させるためには図6のようなセッティングをするのも効果的です。
8.測定・トレーニング用ビープ音発生装置
以上のような工夫によって、個人ごとの最大能力に対する相対的な強度で一人ひとりにとって最適な走速度の設定ができ、誰にとっても決して「理不尽」ではなく、全力でチャレンジしがいのあるトレーニング環境をつくることができます。
今回紹介したMAS測定とインターバルトレーニングを行うためのビープ音発生装置として入手しやすく簡単に使用できるものとしては『MookyBeeper』と『SportBeeperPRO』という装置があります。どちらにも今回紹介したような様々なテストとトレーニングのための音源が最初から入っており、面倒な計算をしなくてもすぐに使用できるようになっています。細かい設定や完全にオリジナルなテストや各種のビープ音を組み合わせたトレーニングプログラムをパソコンでつくるには前者が、パソコンを用いず、デフォルトのテストやトレーニングを基に速度や時間をトレーニング現場で効率よく編集して使用するには後者が便利です。
いずれにせよ、持久的走能力の測定やトレーニングをするために、「コーチがストップウォッチを見ながらホイッスルを吹く」という姿は、こうした機器が普及しているヨーロッパのトレーニングからはほぼ姿を消しつつあります。コーチはコーチとして一人ひとりの選手をしっかり観察して指導する、という本来の仕事に集中することが重視されるようになってきているからです。
次回は、インターバル走ではなく、周回コースにおける持続的ランニングでスピードをコントロールする方法や、最大スプリント能力を加味した持久的走能力トレーニングのための速度設定法、リハビリの初期に一定のスピードで走れるようになるための工夫など、さらに詳しく、持久的走能力の測定と評価法について解説いたします。